スイカは産地の環境だけでなく作り手によって本当に味がかわるんです。有機肥料を使う農家は増えてきましたが、作物の生育状況が悪ければせっかくの有機肥料も吸収しません。「食の安全」は当たり前で、農薬の使用を極力控える事以外に、うねを高くする、幅を広くする、などの土台作りにもこだわり、作物にベストの環境を与えることに重きをおいています。
そして清水農園が大事にしていることは、作物の声に毎日耳を傾ける事です。
1年を通しての作業風景をご紹介します。スイカについてより一層興味を持っていただけると嬉しいです。
まさに広い雪原に黒いアートです。雪どけ剤と言っても炭です。雪国で春先に雪の上が黒くなっているのを見たことがありますか?大抵が農作物の準備が遅れないように撒かれているものです。一番右の写真の奥は撒いていない箇所です。効き目がよくわかります。
小玉スイカから種播きを開始します(小玉と大玉は種から違います)。芽が出たら夕顔の方を台木にして葉をとり、簡単に言うとそこにスイカの芽を差し込むようなやり方です。動管と動管をうまくつながないとスイカが水を吸わないので、熟練の技が必要です。接ぎ木をする理由は、同じ作物を栽培し続けることにより病気などを起こす連作障害を防ぐためです。収穫の時期をずらす為、3段階に分けて接ぎ木をします。
接ぎ木後から10日くらいで発芽します!嬉しい瞬間です。畑の方も雪どけが進み、定植用トンネルの支柱を立てるなど準備を進めます。十分な大きさになったところで定植を開始します。不安と緊張の瞬間です!
子供たちも手伝ってくれます。「希望の苗」。順調に育ってほしい、頑張ろうという気持ちです。
植えたばかりのスイカは高温や乾燥に弱いので対策としてトンネルの土の中に水を入れます。ビニールマルチに水滴が付き湿度も上昇し、かなりの温度に耐えることができます。5月中旬頃には全ての定植が終わります。しばらくしたらマルチに穴を開け温度調整できるようにします。日中は暑くマルチが柔らかすぎるので早朝の時間にしか行えません。スイカ農家は早起き必須!
トンネルを外す時期になる前にうね作りへ。清水農園のうねは土を盛るやり方で高く(ほとんどの農家さんは平らな畑にうねを作るやり方)、そして面積も広くつくります。うねを高くするのは水はけが良くなる為、面積を広くするのはスイカがより広く光合成ができるようになる為で、いずれもスイカを元気にするのに効果的です。また、葉が多いと糖度も上がります。こういった工夫でうちの農園にしか出せない美味しさが出せていると思います。
つるが伸び始めてきたところでトンネル除覆!一気にスイカ畑が美しい緑に変わっていきます。黄色い美しい花が咲き、小さなスイカの赤ちゃんが出始めます。運命的な瞬間です。
黄色い棒は「着花棒」は受粉した日をわかるようにする為に立て、収穫時にわかりやすいようにする目印にします(収穫は受粉してからの積算温度が目安になる為)。同時に摘果(間引き)を行います。出てきた実をすべて育てるわけではありません。どのくらい残すか、どのつるが良いつるか悪いつるか見極めるのも職人の技が必要です。間引きしたスイカの処理も大変な作業です。
スイカがある程度大きくなってきたらスイカマット登場!です。病気予防と、綺麗な縞模様を出すためです(地に着いていると日が当たらなくて黄色くなってしまいます)。なんとこれを1万6千程(年によって変動)作業するんです!これも手作業ですから、すごい労力が必要です。
この時期に入ると日差しも強くなりますので、スイカには藁をかぶせます。特に小玉スイカはデリケートなんです。そして小玉スイカから出荷開始!トラック一杯に積まれた様子を見ると安堵とともに嬉しい気持ちでいっぱいになります。小玉スイカは小さいですが、皮も薄いですので食べごたえはあります。冷蔵庫にも入りやすいし、すぐ食べきれるので最近は人気です。
収穫が始まると直売所がオープンします!ぜひお越しください。そして、大玉の出荷もスタートしていきます。2Lはやっぱり大きいですし、一番美味しいと思います。
収穫時にはたたいて中身の確認をします。これも実は経験がないと難しいプロの技術です。
8月に入ると出荷もピークを迎えます!「この段ボールが届いた時、お客さまはどんな顔をするかな?喜んでくれるかな?開けて驚くかな?」などと想像したり…、でもそんな暇がないほどこの時期はすごい忙しさです。 収穫もすべて終わるとものすごい達成感です!数か月もずーっと作業詰めでしたから、終わったら自分の好きなバイクに乗ってどこへ行こうかな?なんて考えたりします。 でも収穫が終わってからの作業はまだ残っています。後片付けと畑の整備です。限りなく地味な作業ですがこれもとても大事な作業です。
その年のうちに次年度のスイカの準備をします。すごい爪のような機械で畑を耕します。これをしておくと根張りが良く排水も良くなります。あとは肥料をまいてビニールマルチを覆います。
来年もまた美味しいスイカができるように、努力は続きます!